参加申し込み

市民セミナー報告書より

午前中は13名で自然体験・整備活動

 午前10時から12時まで13名が参加して、まちっ子の森で自然体験会&環境整備活動を行いました。伐採したアセビの整理に従事する一方で、講師の道満さんに観察コースをご案内しました。

神戸市シルバーカレッジ卒業生が活躍

 講師の里山和楽会代表の道満さんは神戸市シルバーカレッジの卒業生です。今年の2月11日、ひとはく第7回共生のひろばで口頭発表し、館長表彰を獲得されました。
 5年前に、県立人と自然の博物館の服部保先生から里山和楽会が手作りされた里山管理のマニュアルを紹介されて、感心しました。このたび、やっと里山整備のお話を聞けることを喜んでいます。講演中、くり返し、シルバーカレッジの魅力や卒業生の活躍ぶりを強調されたのが印象的でした。

里山整備と管理を正攻法で実践

 里山和楽会は神戸電鉄の谷上駅から、南へ約1キロのかがやきの森東地区約3haで里山整備をしています。障害者福祉施設のかがやき神戸が所有している放置林を、地域で一緒に自然を楽しめる場所にしているのです。
 シルバーカレッジ13期の卒業生15名で活動をスタートし、全員が里山のことを知らなかったので、服部 保先生に指導を仰いだのです。そして、兵庫方式で「夏緑高林型」の景観を目指しました。
 まず、グランドデザインを作って、かがやき神戸と合意し、活動のあり方を周知するために各種のマニュアルを作って活動を軌道に乗せていったのが特徴です。
 地形図をもとに外観図を作って5つのゾーンに分けて植生調査を実施しています。活動計画を作って結果を記録に残すという着実さで、年間40日ほどの作業を続けて、11月には第1次整備再生を完了します。
 地域とのふれあいにも力を注ぎ、林床整備して堆肥を製品化し販売し、しおりやカレンダーも販売し、売上は寄付しています。小学生の環境教育を支援し、地域の人たちに観察会を催すなど多彩な活動ぶりです。2、3年後には整備から保全の活動に転換したいと、意気軒昂です。

後継者づくりと拡がりが次の課題

 70代の方が主導して見事な里山整備・管理を進めておられます。この活動を地域の内外に広めて、担い手となる後継者を見出すことが大きな課題になっています。団塊の世代を挟んで、その次の時代にどのように引き継いでいけるかは、市民活動に共通するテーマでしょう。

講演の内容

講演の挨拶(道満 俊徳さん)

 今朝10時から六甲山を活用する会の活動現場を案内してもらい、丁寧な説明を受けました。アセビ群生しているのも目にしました。
 それでは、われわれの活動を整備再生の現状と、地域との係わりの2部構成でお話しします。

1.里山和楽会の結成と運営

■シルバーカレッジ卒業生が結成

 里山和楽会はシルバーカレッジの同期の仲間15名で作った。シルバーカレッジは「再び学んで他のために」という建学の精神で、ボランティア活動を勧めている。平成5年に開校して以来、すでに5,000人以上の卒業生がいて、半分くらいは神戸市内で活躍している。

■かがやきの森東地区で活動

 活動の場所「かがやきの森の東地区」で、神戸電鉄・谷上駅から南へ約1キロ上がった新興住宅の横で、靴下のような所だ。標高350から380Mで面積は約3haだ。
 障害者の福祉施設「かがやき神戸」は、かがやきの森という放置林を持っていた。
理事長から、何とか再生し地域の方々と一緒に自然を楽しむ場所にしたいと要望されて、2007年4月に結成しスタートした。

■学習してマニュアルも作った

 15名でスタートした。まったく里山のことは知らない者ばかりで、服部先生にレクチャーを受け、里山林の整備のあり方を学んだ。手法は兵庫方式で、景観的には夏緑高林型で進めた。
 目的・目標については会則を作り、グランドデザインを作った。かがやき神戸の管理地なので、最終的なデザインを示して、契約の形を作って、両者で合意した。住宅地に近いので癒しの森、夏緑高林型・生物多様性の森に目標を定めた。皆が同じレベルで作業していきたいので、活動のあり方のマニュアルが要ると考え、数ヶ月かけて色々マニュアルを作った。

■計画的な運営

 最初は活動の計画を作り、その結果を記録という形で伝え、そしてどんな場所か、地名、番地をここに載せ、かがやき神戸、そして地域の住民の方の目線で PlanDo Check and Action という形で活動している。
 日々の活動は週の月曜日を活動日にし、7つのチームに分けて、年間40日間ぐらい活動している。まず活動の計画を作成したものをメールで配信する。そして当日集まってミーティングをし、約3時間の作業をする。その後は各チームでしてきたことかを発表し、記録に取っている。情報の共有化に努めているわけで、これを繰り返しやっている。

2.里山林の管理・整備

■地形図を作成して植生調査

 地形図を作るためスケーリングをし、そして概観図を作って5つのゾーンに分けた。その中を10メートル×10メートルの100㎡という調査枠(作業枠)を作った。
 最初に73の調査枠を一気に作って調査をした。その次に植生調査をスタートした。基本的な調査項目は、階層、種名に本数、胸高周りに被度で、植生調査表を作っている。そして観察木を決め観察もしている。ここには126種あるが、47種だけを捉えて、観察項目について把握するために四季折々の観察をしている。

■フロー図を基に管理作業

 植生調査枠とまったく一緒の管理作業枠を設けて、調査した後で管理作業に入る。活動計画に基づいて記録を作っている。管理作業枠の中で、伐る・伐らないという判断をして保全木を決め、それをマーキングする。
 樹木の調査で全部マーキングして伐採し、ビオネスト(堆肥ピットを作ってそこで熟成して堆肥にする)に積んでいる。林床整備とこの一連の流れが活動の状況で、これを毎回繰り返している。

■今年度で第一次整備作業は完了

 Gゾーンが2012年の1月に終わった。最初はホワイトゾーンで2008年に完了し、そしてイエローゾーン、その次にブルーゾーン。さらにグリーゾーン、そして今年はレッドゾーン、これを済ませるとおおむね第一次の整備再生が終わる。

3.地域とのコミュニティづくり

■林床整備と観察路づくり

 林床整備をして堆肥を作り、堆肥は製品化して、ふれあい祭りで販売をしている。ぐるっと回っても30分位だが、道を作り、案内板を設置している。眺望が非常にいい所には景観図を設置している。春と夏と秋にはマップを作り、樹木のミニ図鑑ができた。

■ふれあい祭りに参画

 毎年1回だけ、地域の方と自治会と一緒にふれあい祭りをしており、われわれもスタート当初から参画している。その内容は4つで、1つは先ほどの堆肥、それと花や蝶のしおり・カレン
ダーなどを販売。そしてお子さん対象のキコリ大会、さらにドングリ工作やダーツ遊びを、毎年やっている。

■様々な自然体験を支援

 2006年位から3年生に対する環境教育がスタートした。われわれも2008年からずっと地元の小学校とやっている。体験学習という形で、音を聴いたり体感してもらっている。
 「この木何の木」ということで、植物に関心を持ってもらおうと、木の高さ、木周り、葉っぱを測り、木肌を塗料で塗ったりしている。枯れ松を伐採して年輪を勘定してもらっている。ピットの中にはカブトムシが沢山発生するので観察してもらっている。小学生の低学年は昆虫が大好きだ。子供達にここを出来るだけ入っていって、故郷の森にしてほしいと思っている。

■他の団体との交流

 夏休みに入った直後に、夜の昆虫採集と天体観察の両方を、六甲の自然を守る会の清水さんの団体と一緒にやっていて、非常に人気だ。

まとめ(道満さん)

 スタート時のメンバーから人が増えないのは大変だと思う。財源の方も確保することや、かがやき神戸にもっと還元すること、地域との一体感づくりを考えたい。生物多様化の保全には寄与しているが、ナラ枯れ防止も課題になっている。11月に第1次整備を完成するので、2,3年後は第2次の保全を行いたい。

質疑応答

■グループの人は地域に住んでいるの?
地元は私だけで、灘区、西区、須磨区、北区など、あちことから来ています。会費は取るが、ボランティアですので支払いはしません。
■地域の若い人は来ますか?
周りは30、40代のサラリーマンが増えて、子どもの声も賑やかで活気のある新興住宅地です。50歳近い方々を継承者にするのが望ましい。自治会に働きかけたが駄目でした。

事務局より

 平成24年度の市民セミナーは4回開催という新たな試みであり、その最終回を意義深い講演で締めくくっていただいた。ビジネス界で活躍した方々が、新たな境地で地域貢献されているのは、熟年者の手本になると思う。しかも、原則を踏まえて、着実な展開をされていることは、賞賛に値する。われわれも学び取りたい。