参加申し込み

市民セミナー報告書より

天候悪化のため、セミナーを中断

 自然保護センター前のケヤキの大木が傾くなど、11号台風の被害を随所で目にします。天候不順ですが、午前中は曇りという予報で決行しました。記念碑台は濃い霧で風が強く、気温は22℃と肌寒いです。そんな中でぴかぴか隊など27名が参加しました。
午前中はまちっ子の森での自然体験をやめて、屋内での演習に切り替えました。風雨が強くなり、帰りのドライブウエイの通行が心配になったので、昼食時でセミナーを中止しました。12年間のセミナー開催で初めての出来事です。

岩木さんに10年ぶりのお願い

 岩木さんは環境教育や地域活動の指導者養成などでご活躍です。当会では、2004年6月19日の第15回市民セミナー「六甲山と環境教育~フィールドとしての六甲山の可能性を考えてみよう~」でご指導いただきました。これが当会の環境学習への前進にもなりました。
それから10年、当会は子どもの環境学習を実践しつつ、「まちっ子の森」を創出しました。この六甲山上の貴重な自然体験のフィールドを活かすことを、岩木さんにご賛同いただきました。今回のセミナー開催に際しては、度々現地を下見して、万全の準備をしていただきました。

屋内での自然体感、五感を使うことを触発

 まず、セミナールームで自然体感のワークをしました。五感をひらくウォーミングアップです。参加者は車座になって目を閉じて、いろんな「もの」を包んだ紙ナプキンを渡されました。「視覚以外の五感を使って、ものと出会ってください」という指示を与えられました。皆さん真剣な様子で、各人各様に「もの」と出会う姿を見せていました。五感を使うことを忘れがちな自分に気づく人が多く、五感をはたらかせるという、自然体感の第1段階に熱中しました。
野外は風雨が強くなり、記念碑台でできる範囲でワークすることに絞りました。次は、卵ケースを渡されて自然の物集めです。雨の記念碑台広場で、該当する物を集めました。 出かけたまま戻りが遅い人もいて心配しました。
集めた物をお互いに披露し感想を紹介し合う場面は、笑いで賑わいました。3つ目のワークは、集めてきた物の中から木の葉っぱを取りだし、スライドの枠で木の葉っぱを透かして観る「リーフ・スライド」です。普段目にしない鮮やかな葉脈などが見え、視覚をはたらかす大切さを触発されました。演習が盛り上がったところで中断しました。

後日、「まちっ子の森」の自然体験活動を考察

 予想外の事態で、予定のプログラムの半分も遂行できませんでした。参加者と一緒に「まちっ子の森」を活用する案を出す、という目的には到達できませんでした。
セミナーを終えて2週間後に、岩木さんと報告書づくりを検討しました。運営する立場から見た当日の概況、天候が良かった場合に予定した内容、そして「まちっ子の森」を活かす案など、原稿書きもお願いしました。
岩木さんにはどっぷりと当会のペースに浸っていただきました。「まちっ子の森」活用を新たに展開するお力添えを期待しています。また自然体験のリベンジをしたいですね。

講演の経緯(岩木 啓子さん)

■大変な悪天候に予定変更で実施

 台風による土砂崩れで表六甲ドライブウェイが通行難となる中、迎えた8月16日。曇のち弱雨との予報だったため、予定通り開催ということになり、参加者も集まり始めました。ところが、記念碑台周辺は濃い霧に包まれ、木々が折れそうなほどの風。開始時には横殴りの雨まで降って来ました。
当初の予定では、午前中に五感をフルに使ってまちっ子の森で自然と触れ合い、その体験をベースに、午後は自然とかかわることの価値やすばらしさ、まちっ子の森の活用方法について意見交換する予定だったのですが、お天気には勝てず、予定していたフィールドワークは断念。会場内と近隣を使って可能な範囲の活動を行うことになりました。

講演内容

1.自然保護センターの内外で自然体験

■五感をひらくウォーミングアップ

 まずは、五感をひらくためのウォーミングアップ。輪になって座った参加者の手の上に紙ナプキンに包まれたいくつかの「もの」が置かれます。参加者は目を閉じたまま、視覚以外の五感を総動員して、その「もの」と出会い、知り合うというワークです。
神妙な顔で手の中の「もの」を触ったり、においをかいだりする様子が見受けられます。しばらく時間をかけて、十分に「もの」と知り合ったと感じた後、目を開けて近くの数人と感想を出し合いました。自分がどんな風に「もの」と出会おうとしたのか、「もの」とかかわるにあたって五感をどう使ったのか…。あらかじめ「五感をフルに使って…」と伝えられていたにもかかわらず、味覚までは使わなかった人が大半。触ってはみたけれど、それ以上の五感は使わなかった人やそもそも「もの」の包まれていた紙ナプキンを開くことさえ躊躇した人も。
ことほど左様に、日常、私たちは五感を十分に開かず、自分に制限をかけて暮らしているのだ、と痛感させられました。また、「もの」の名前に見当がつくと、それで「よく知った」気になってしまうという傾向も。でも、五感を使って深く触れ合わないで、本当にその「もの」を知ったことになるのでしょうか?
自然の中でも、私たちは鳥や木の名前を教わると、それで「知っている」気になってしまいます。しかし、そのぬくもりや手触り、においや微妙な色合いなど、普段はあまりひらかれていない五感を意識して使うことで、自然はもっともっとその魅力を伝えてくれるのではないでしょうか。

■雨の中、記念碑台近辺で自然物集め

 激しい雨は降っているものの、記念碑台の近くなら多少外に出ることも可能だったので、自然のものを集めてくるワークを2つほど行いました。
探してきてほしいとお願いしたのは、各自葉っぱ1枚。さらに、グループに1個ずつ渡した卵ケースに、貼られたシールに該当するものを集めてくること。シールには、「ツルツル」「ゴツゴツ」「ふわふわ」「ねばねば」「ころころ」など、ケースごとに異なる形容詞が書かれています。ほんの5~10分ほど外に出ただけでずぶ濡れという状態でしたが、皆さん様々なものを探してきてくださいました。

■葉っぱで素敵なスライドショー

 まずは、取ってきた葉っぱを使ってのスライドショー。各自、自分の葉っぱをボール紙で作った枠に挟んで準備。これがスライドの1コマになります。光に透かしてみると、それぞれの美しさが際立ちます。これを合図に従って隣の人から回って来たスライドを順送りにしていきます。
一巡したところで感想を聞きました。一口に葉っぱといっても、実に多様な形があり、大きさがあり、色がある…手に持っていた時には茶色くてそろそろ朽ち果てようかという老いた葉っぱも、光に透かして見ると、そのレースのような葉脈のきれいなこと!普段とは違う見方をした時に、また新たな美しさを見せてくれる自然の奥深さを感じます。

■触感で集めたモノを当てっこ!

 卵ケースに集めてきた自然物は、グループごとに交換して、シールに書かれていた形容詞を当てっこします。苦労して集めたものを触ったり眺めたりしながら、グループごとに楽しんでいる様子が見受けられました。もの自体の名前は知らなくても、「チクチクしたもの」「コロコロしたもの」が自然の中にはいっぱいある!それと無邪気に触れ合うことの楽しさを十分味わっていただけたのではないかと思います。

2.今日の体験から自然体験活動を考える

■「まちっ子の森」こんなふうに活かしたい

 雨がいよいよ激しくなってきたので、予定を繰り上げて午前中で切り上げることに。全員で輪になって、「まちっ子の森でどんなことをやれそうか?どんなことをやってみたいか?」を出し合って、まとめに代えました。
高齢の参加者が大半だったこともあって、「孫と一緒に来て楽しめたらいいな」という方が多くおられました。自然に触れる機会の少ない今の子どもたちに、自然とかかわり、その感触を味わってほしい、自然の中で思い切り遊ぶ体験をしてほしいという声が上がっていました。そのためには、いつ来ても案内してもらえる、何かができるという状態を作る必要があるのでは?という意見も

3.自然体験活動の意味と進め方

■フィールドワークの当初の予定

 お天気がここまで崩れなければ、今回体験したいただいた3つのワークをまちっ子の森の中でポイントを移動しながら行おうと考えていました。
①五感をひらく:まずは、比較的広いスペースのある尾根筋のベンチのあたりで、目をつぶって耳を澄ましたり、肌に感じる風や太陽の温度を感じたり、森のにおいを味わったり…普段は使わない感覚を意識してみる。その後、前述の「モノとの出会い」のワークを土の上に座って行う予定でした。
②葉っぱのスライドショー:その後、各自で葉っぱを探しながら移動。奥の第2区画あたりで葉っぱのスライドショー。グループごとに卵ケースに自然物を集めていただいて、池の近くに降りて互いに当てっこ。という感じで、場所を移動しながら一連の流れでワークを重ねようと考えていました。
③「森人(もりんちゅ)」:さらに、これは愛知万博で考案されたものなのですが、モールで作った「森人(もりんちゅ)」と名付けられた小さな人形を森の精に見立て、各自、1体ずつその森人が「いたいなー」と思っているお気に入りの場所に置き、その言いたいことを短冊に書いて一緒に置くというワークもする予定でした。全員が置いた後、それぞれの森人を訪ねて人形と短冊を見て回ることにしていました。最後に、他の人と離れた場所で一人になって、10~15分、森の中に座って過し、そこで感じたことを全員で分かち合って終了。こんな流れを考えていました。

■「まちっ子の森」のこれから

 意見交換では、唐突に「まちっ子の森」の活用方法を出し合っても表面的なものになるので、以下のようなことを順次考えながらディスカッションを重ねていこうと考えていました。
・自然とかかわることの良さって?
・日常の自分や人々の自然とのかかわりのありようは?
・自然とのかかわりが薄くなりがちな原因は?
・まちっ子の森を使ってどんなことができそう?してみたい?

まとめ(岩木さん、後日談)

■「まちっ子の森」活用の可能性

 これからの「まちっ子の森」、いろいろな可能性があると思います。訪れた人が各自で取り組めるようにセルフプログラムやツールを用意しておけば、今回行ったような五感を使って楽しむことができます。今回参加された人たちが対応してサポートしてもいいかもしれません。仕切りのついた箱を用意しておいて、それにフィールドビンゴのように森のいろいろなものをコレクションするようにすれば、思い出として持ち帰ることもできます。
また、特にプログラムといったものでなくても、森の中で座って瞑想する、木陰で読書する、俳句をひねってみる…なんていうのも味わい深そう。高校の茶道部に手伝ってもらって、「森のお茶会」をしたり、保育園や幼稚園に呼びかけて自然体験をしてもらう等、多様な組織との連携も探ってみる価値がありますね。そこに大学生がスタッフとしてかかわるというのも面白いかも。せっかく町の近くにある森なので、もっともっと多くの人が気軽に立ち寄れる場所にしていけるといいなぁと思います。(原稿執筆)

事務局から

 悪天で中止は初めてのことです。ご心配やご迷惑をおかけしましたが、貴重な経験を次に生かすつもりです。