第83回 六甲山のミツバチからのメッセージ
六甲山は希少価値の高い「天然はちみつ」の生産適地です。「口に入れる物は安全でなければならない」という信念で養蜂を実践し、「人が管理できないミツバチ社会」、「ミツバチが社会に与える影響」など数々の教訓も体得しています。自然環境との共生について伝えたい。(小室さん)
六甲山上に養蜂場を設置して、桜の植林にも注力されるとともに、ハチの駆除などで地域に貢献されています。六甲山固有の「塩」「味噌」「紙漉」など地場産品の復興を考え、食の安全や地場産品の普及を図っています。最近は海外での講演活動も頼まれ、エネルギッシュに活動されている。豊富な話題は大きな刺激を与えてくれます。
会場は六甲山地域福祉センターです。ご注意下さい。
| 開催日時 | 2010年2月20日(土) 13:00 |
|---|---|
| 会場 | 神戸市立六甲山地域福祉センター |
| 講師 | 小室 哲郎(六甲みつばち王国代表) |
| 詳細 | 案内チラシPDF 報告書抜粋PDF |
六甲山にも春が近づいている
快晴の六甲山の記念碑台周辺は午前10時で3℃、二つ池環境学習林の日陰になると1℃と寒さを感じました。午前中の環境整備は、8名のボランティアで定例の観測調査を実施しました。近畿自然歩道沿いの日当たりにはアセビの花芽が色づいて、春が近いことを教えてくれました。
元気を運ぶROKKO BOSS昨年秋に小室 哲郎さんに入会の申込みをいただきました。さっそくお会いし六甲山で天然はちみつに精魂を傾けられていることを知りました。昭和38年から六甲山を走り回り、03年から六甲山上にミツバチの養蜂場を増設し、オーナー会員制で運営されています。
「こんなに元気な人が六甲山にいたのか!」と感激しました。
今回のセミナーで参加者全員が豊かな話題と天然はちみつを通じた実践で磨き抜かれた博識に接して感動された様子でした。天然はちみつを通して自然の恵みを知る講演のために生かしておいたミツバチの巣箱、試食用のはちみつ、六甲の味噌、六甲の塩も持参されました。冒頭で「ミツバチは、いくつくらいの仕事をしていますか?」と問いかけ、①はちみつをためる、②花粉を集める、③ローヤルゼリーやプロポリス、④蜜蝋、⑤食用(ハチの子)、⑥蜂針治療など、話題を発展されました。
「国産」や「純粋」と称して売っているはちみつと、何も足さない・何も引かない100%そのままの「天然はちみつ」とのちがいを分かり易く説明され、本物の「天然はちみつ」を生産し、理解を拡げようとする強い意欲が浸透しました。
かつて、アトピーの子どもさんに、「食は医なり」と自分が作ったものを食べさせたことが発端で、自然の恵みを大切にされてきたとのこと。実体験に支えられたお話は説得力が豊かでした。
講演の終盤は、六甲山で残っていた最後になる味噌造りのVTRを放映して、六甲“産”づくりに関心を注いでいることも紹介されました。また、六甲山の手造り塩を試食した皆さんは、「おいしい」と感嘆しました。「六甲山のミツバチ・・・」というテーマですが、実は皆さんが小室さんの生き様からのオーラを浴びたようでした。生き物・自然・歴史・生活など多様な面から触発されて、活気づけられたセミナーになりました。
六甲山における生産活動を注目したい
六甲山上に養蜂場があることは意外でした。小室さんのお話しでは六甲山は適地であるとのことです。リゾートという消費地の固定観念が覆された思いを抱きました。六甲山には生産地としての魅力も潜在していることに眼が開かれました。
講演内容
講演の挨拶(小室 哲郎さん)
六甲山を愛する仲間で、六甲山で活動して40年近くになります。天上寺でお札をもらったら70歳でした。私自身が経験したことしかお話できませんが、よろしくお願いします。
1.六甲山の天然はちみつ
■ミツバチの仕事
ミツバチを知らない人はいないと思う。ミツバチはいくつぐらいの仕事をしているだろうか。①はちみつをためる。②花粉を集める。③ローヤルゼリーやプロポリス、④蜜蝋⑤食用(ハチの子)⑥蜂針治療など多くのところで役に立っている。
■ミツバチのお蔭でイチゴがおいしくなった
花粉交配が一番大事な仕事。最近イチゴがおいしくなったのは、ビニールハウスの中でミツバチを飛ばすと全てのイチゴに受粉ができるからだ。
私も農家にミツバチを貸しているが、ミツバチは農薬に弱いので、農薬を使わないようお願いしている。
■高級なロウソク
蜜蝋というミツバチの蝋でつくるロウソクがある。普通のロウソクは石油からつくるパラフィンでできている。蜜蝋は煙が出ないので、部屋の中で使っても煤けたりしない。口紅のほうがよく使われる。
■雄バチは交尾しかしない
ミツバチは雌雄を産み分けることができる。雄バチは針がなく、蜜もつくらない。交尾にしか使えない。交尾のとき、1匹の女王バチに約300匹の雄バチがたかる。女王バチは春分~秋分まで毎日2000匹の赤ちゃんを産むといわれる。
■ミツバチはきれい好き
世界で一番清潔なのは人工衛星のロケットの中と、女性の子宮の中、そしてハチ箱の中だと言われている。ミツバチは、プロポリスを出してハチ箱の腐敗を防いでいる。
ミツバチは農薬をかけたり、使ったところには自分から絶対に行かない。農薬をかぶったら、巣箱に入らずに自分で死ぬ。
最近マスコミでミツバチが減ったと報道されているのは、養蜂家がたるんでいるせいだ。養蜂家は、行政と話し合って農薬の散布をやめさせるべきだろう。
■ミツバチは5週間の命
ミツバチは蛹から成虫になって約5週間生きる。女王バチは体長が2.5~2.7㎝と、働きバチの3倍あり、4年生きる。働きバチは花粉やはちみつを食べるが、女王バチはローヤルゼリーだけを食べる。ローヤ
ルゼリーとは、生まれて2週間までの幼虫が首から出す物質。
■蜂針治療
長男が腰を痛めて、兵庫県蜂針療法研究所に相談して蜂針治療を勧められた。針を打って5分後に効果が出て驚いた。その後勉強して私のところでやるようになった。お医者からの紹介がある人に、お医者の指導を得て施術をしている。ガンやリウマチの治療にも効果が認められている。
2.六甲山での定置養蜂
■六甲山で採れるはちみつ
六甲山ではまずマンサクに始まり、レンゲ、サクラと続く。サクラは5月の上旬~15日ぐらいまで。続いてアカシア、フクラシバ(ソヨゴ)、7月には六甲山名物のリョウブが咲く。私が舐めた中で一番おいしいが、6年に1回しか咲かない。リョウブが終わると、ハギ、クズと続く。
■本物のはちみつは何も足さない・何も引かない
日本のはちみつは消費量45000tに対して、生産量が2200tしかない。兵庫県には55件の養蜂家があるが、はちみつを採っているのは4件だけ。生産量は県全体でも5tしかない。
パッケージに「国産はちみつ」と書かれていても、100%国内産とは限らない。輸入品に国産のはちみつを足しても国産になる。
外国産と日本産を混ぜて「純粋はちみつ」と言う場合もある。採ったものが100%そのままなのは「天然」と言う。
■日本人が悪いやり方を教えた
中国の養蜂家は一生懸命良いものをつくっている。ミツバチが巣箱に蜜蓋を張る前に絞ってしまう方法を日本人が教えた。この方法だと採取期間は短くなるが、糖度が低いので煮詰めて糖度を高める。ミネラルは熱を加えると破壊されるので、残ったものは色のついた水飴。
悪い輸入業者は中国から安くはちみつを仕入れ、日本で国産の出所不明のはちみつを若干継ぎ足して売る。すると、中国で1kg50円のものが2500円になる。
はちみつ屋さんで自社ビルを持っているところもあるが、地道にやっていたらビルなんて持てるわけがない。有名なデパートでも、はちみつフェアで天然はちみつと称して、花粉の全く入っていないものを売っていた。
3.六甲“産”の魅力づくり
■山の中での塩づくり
西宮に名塩という地域がある。山中で「塩」は不思議な地名だが、六甲山はかつて活火山だった名残で、名塩では岩塩が採れる。
塩の作り方:アシを刈る。根がきれいに取れる。根をよく洗って石油缶に入れ、焚き火で燃やす。灰になるので水を入れて沸騰させ、網で漉す。それを煮詰めると、最後に塩の粘土のようなものが残る。海の塩と違ってマグネシウムが入っていないので、肉や山草にはよく合う。50kgのアシから150g取れる。
■400年から受け継がれる味噌づくり
400年前に豊臣秀吉から味噌の造り方を教えてもらった。以来門外不出で六甲山に伝えられている。
六甲山で唯一、味噌づくりをしているお婆ちゃんがいる。来年からは味噌づくりを止めるそうなのでビデオに撮った。味噌づくりに防腐剤や薬は一切使わない。米は2、3年前の古米が良い。1日目に米と豆をふかし、2日目に仕込む。麹にはモヤシ麹を使う。桶は消毒して、唐辛子をまいて、豆のゆがき汁で蓋をする。お盆明けまで置いておくと味噌が出来る。
質疑応答
赤ん坊にはちみつを食べさせたらダメなの?:
ボツリヌス菌が入っている場合があるから。ニホンハチミツの蜜が入っていると考えたらいいんじゃないか。人には勧められないが、私の孫には離乳前から食べさせていたが何ともなかった。
プロポリスにもいい加減なものがあるの?:
日本産は効果がない。錠剤も効果ゼロ。ブラジルのミナス産プロポリスが一番効果があり、信頼できる。本当に質の高いプロポリスは含有率50%以上で、お医者さんが麻酔替わりに使う。
まとめ(小室さん)
私も養蜂家になりたいという方、私が教えます。自分や家族に食べさせるだけなら、愛情があれば誰でもできます。私は何万発と刺されています。
(ただし、酒を飲んで巣箱に近づくのはやめた方がいいです。)
事務局より
小室さんの精力的な六甲“産”づくりの活動を知リました。そして、六甲山の活性化を考えると、生産の山という側面が見当たらず消費の山になっているのが要因のように思えました。私たちも魅力再発見の情報生産に注力したいものです。
六甲山を活用する会事務局
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