第88回 女子高生の環境学習
「女子高生が社会を変える」をキャッチフレーズに、
環境や国際協力を訴えて活動してきた過程・意義を振り返りたい。今年の冬にBlue Earth Projectの活動をして、卒業後も活動を継続している大学生4人も参加して、活動内容を発表してもらいます。(谷口)
数年前に谷口先生から環境整備活動のフィールド提供のご相談を受けました。以来、目を見張るような活動を展開されています。社会に深く関わり、世の中に訴えかけていく活動で、新しい教育のあり方を六甲山麓の女子校から発信されています。関心のある方は必見です。(事務局)
| 開催日時 | 2010年7月17日(土) 13:00 |
|---|---|
| 会場 | 六甲山自然保護センター |
| 講師 | 谷口 理(神戸松蔭高等学校 教諭) |
| 詳細 | 案内チラシPDF 報告書抜粋PDF |
市民セミナー報告書より
ピカピカ隊の応援で盛況
午前中の環境整備の定例活動は、イベント清掃ピカピカ隊23名が参加されて総勢34名になり、近畿自然歩道やアセビ実験区のササ刈りと植生調査などを行いました。午後も快晴で記念碑台から大阪湾が眺望でき、セミナー参加者も37名と盛会で、笑顔で夏の半日を過ごしました。
谷口さんは新しい教育の先駆者
松蔭高校・進路部長の谷口さんは全く新しいキャリア教育の先駆者です。「責任ある社会人として生きていく意識と力を身につけよう!」と、同校でチャレンジプログラムを推進され、全国的に高い評価を集めておられます。
6年ほど前、谷口さんから当会に「森の手入れを体験できる所はないか」という問い合わせがありました。それ以来、活動発表の案内メールをいただき、環境問題への取り組みを深め、活動を広げられることに感心していました。市民セミナーには卒業生も同伴され、ブルーアースプロジェクトやTAPプロジェクトの生の体験をご披露いただきました。宮城県から支援されているTOTOのスタッフが、島根県からは市民性教育を推進される先生も遠路参加されました。穏やかな物腰の谷口さんの「女子校生が社会を変える」に共感し、“ほんもの”だと感銘を受けました。
女子高生の環境啓発活動に敬服
松蔭高校のチャレンジプログラムは、進路がほぼ決まった3年生の3学期を有意義に過ごすための試みとして定着しています。社会や世界の課題を見つけ、学校から飛び出して社会に働きかけるのが主旨です。社会人として生きる根本ですが、女子高生が見事に実践しているのは驚異的でした。
チャレンジプログラムに参加した女子高生は、戸惑い悩みながらプロジェクト活動を達成し、行政責任者やマスコミなどに体験発表をします。社会に関わる課題は、水、いのち、福祉、森林、飢餓、貧困、温暖化と多岐です。その中で高校生ができることをテーマに、「元気で明るく」をモットーに多彩な活動を実践しています。今回参加された2名の卒業生はBlueEarthProject大学部(プロジェクトOG約100名)の一員で、今も活動を継続しています。
世代に応じた一人ひとりの実践が必要
私たちを取り巻く環境に関する問題は大きくしかも複雑です。ややもすると無力感に陥ります。女子高生の実践は真夏の清涼剤として勇気づけてくれました。熟年者で社会貢献されるピカピカ隊との出会いも貴重でした。
明るく有意義な半日でした。
講演内容
講演の挨拶(谷口 理さん)
松蔭高校の進路指導では、受験指導とキャリア教育の両立を目指しています。その中で、今日は社会人としての生き方を社会の中で社会とのかかわりから学んでいくキャリア教育について話します。なお、今日は私の講演では初めての試みですが、卒業後も活動を継続している中村さんと西村さんの体験談も入れながら活動をご紹介します。
1.責任ある社会人として生きるために
■キャッチコピーは「女子高生が社会を変える」
Challenge social design project、略して「チャレプロ」という社会とつながるための教育活動をしている。3年3学期に活動する。大きな活動だが手応えを感じている。2000年から地道に活動し、企業や団体が関心を持ち支援も得るようになった。放送局から環境問題を発信、環境大臣に温暖化Stopを訴える等ができるようになった。
■なぜチャレプロを考えたか
高校生に将来意識の調査をとっていた時に、将来つきたい仕事アンケートでは、収入や安定本位で保育士、看護師等技術の仕事を望むが、国際援助・エコなど社会に関わるのが少なかった。これで社人として生きていけるのか疑問を持った。
2.チャレプロは問題解決型プロジェクト
■「気付きの種を蒔く」
水・森・命など時にグローバルな社会の諸問題に気付き、その課題解決に向けて自分達が出来ることを考え、それを社会に訴えていく。それも、学校内でではなく、社会や世の中で多様な人と触れ合いながら責任ある社会人としての生き方を模索することはライフデザインを考える上で欠かせない。そんな思いで企画している。
■TAPプロジェクト
世界で1日3800人もの子どもたちが水事情で亡くなっている。井戸を掘って子供たちを救おうという趣旨でTAPプロジェクトを実施した。飲食店を回り、手製のテーブルカードを置かせてもらい、お客様からチップ感覚で募金をいただく。泣いている顔の子どもの上に100円を置くと全員が笑顔になるというのが彼女たちのデザインだ。
■多彩なプロジェクト
ブルーアース、ピンクリボン、フードアクション、ゴミゼロ等多彩である。毎年変えているが、一つのプロジェクトから派生するものもある。
詳しくは、松蔭高校のサイトを見ていただきたい。
3. 社会をデザインしていく流れは
■流れ概要
SocialDesignProjectの流れは図のようになっている。社会や人をデザインすることにチャレジしながら、責任ある社会人として生きる意識と力を身につける新しい学び(教育活動)になった。
■課題設定-現実の課題は自分につながる
最初に学習会、次に吉野合宿をする。吉野の山の悲惨な現実を見ることで課題意識が芽生える。街に出てアンケート等、いろんな意識調査をしたりして、自分の体を動かしてそういう体験を通して、社会への課題意識を高める。
■企画・準備-聴いてもらうための工夫を真剣に
どうやって身につけた問題意識を伝えていくか、企画会議で必死に話し合う。伝える武器は高校生らしい明るさと元気、工夫だ。求めているのは気持を伝えることで効率や結果の量ではない。
■協力依頼-失敗から学ぶ
世の中は厳しいということを体感する。店の人に「世の中変わると思ったら大間違いやで」と言われたりするが、あえて助けない。挫折があって、どうしたらいいのと工夫する。
■イベント実施-高校生の伝える力は大きい
イベントで市民に伝えていく。エライ人が「節水しましょう」といっても言葉だけになる。高校生がいうと、「私らもやらなあかんのちゃうか」となる。高校生の世の中の大人たちへの伝える力は大きい。今の学校教育、その機会を与えていないだけ。子どもたちも、お姉さんが言ってることは心に入ってくる。
■報告提案-想いを語るのはとても大事
終わった後、自分たちの活動を踏まえて、行政や国の人に提案する。相手はすべからく年が上、かつプロである。最初は勇気がいるが、繰り返すうちにだんだんできるようになる。
■チャレプロの活動は卒業後も継続
今までは報告提案で終わっていた。しかし、「自分でもいろんなこと出来るやん」と自己発見があって、次にまた後輩と関わるとか、いい形のサイクルが起こってきた。
質疑応答
この活動を続けたきっかけは?
最初はあまり興味も熱意もなかった。ふと、自分たちにも「できるかな」「このままではあかんのとちゃうかな」という気持ちになった。
まとめ(谷口さん)
年齢も職業も性別も関係なしで、世の中をよりよくしていく時代だ。高校生も社会人として何が出来るか考え、行動に移せる機会を今後も与えていきたい。こちらから教えるというのではなく、彼女たちの自主的な活動をサポートしていくことで、主体的な活動が生まれ、社会の中での達成感が、将来社会で生きていくための新たな自己発見にもつながっていく。
事務局より
女子高生の活躍ぶりに影響され、参加者は様々な感動を覚えながら活発になった。「大きな視点から考えて、できることを工夫する」ことで一貫していた。谷口さんの慧眼に敬服するとともに、それぞれなりの実践へと勇気づけられました。
六甲山を活用する会事務局
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