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市民セミナー報告書より

テーマにぴったり“霧の六甲山”

梅雨時で、山麓では朝から小雨がぱらついていました。六甲山を登ると、あたり一面霧に包まれました。まさに、講演テーマ「六甲山の霧」にぴったりの天候です。午前中の環境整備は14名が参加し、二つ池周辺で150個近いモリアオガエルの卵塊を観察しました。

「普遍的事実を探究したい」と平木さん

兵庫県立健康環境科学センターの平木さんにお話をお聞きしました。平木さんは、昭和47年から現在まで、兵庫県の大気汚染に関するデータを収集し、研究を続けておられます。科学者として普遍的な事実を突き詰めたいという思いが強く、「少しでも科学に役立つことをしたい」と、六甲山では県の事業として13年間調査を続けています。平成14年には、六甲山で観測された樹雨現象を解析し、スギ樹冠にもたらされる霧水沈着の時間変動についての論文を著しておられます。
今回は、理系以外の参加者にも分かりやすいように、実際に環境教育用の大気沈着物観察セットの使い方も解説していただきました。参加者は好奇心を強めて器具をのぞき込んでいました。

自然保護センターの片隅にある観測基地

六甲山では霧が出やすく、とりわけ鉢巻展望台のあたりから発生しています。自然保護センターの西側に自動霧水補集装置を常設して、自動観測しています。六甲山の霧は、雨よりも溶け込んでいる化学物質の量が10倍多いとのことです。雨と霧を比べると雨の方がきれいだといえます。蒸発、降水、流水という水循環のサイクルで考えると、雨は蒸発の次に当たるので、比較的汚れていません。
ただ、大気からの化学物質に注意が必要なのは、雨や霧の時だけではありません。晴れている時にも、大気中からホコリのようなものが落ちてきています。

六甲山から地球環境に目を広げたい

自然保護センターの敷地で、霧水のデータを継続的に収集されていることを始めて知りました。霧水から大気汚染の様子が分かることも学びました。
酸性雨同様、越境大気汚染のひとつとして中国からやってくる黄砂の被害も気になります。六甲山は、都市に密接しているので、大気汚染の影響が顕著に出る場所だそうです。日本でも、欧米並の酸性雨が観測されているとのことなので、今回の講演を期に、大気汚染の動向に関心を向けたいと思いました。