参加申し込み

市民セミナー報告書より

陽春の六甲山は花がさわやか

久し振りの快晴で、表六甲ドライブウェイにはタムシバの白い花が鮮やかでした。連休の中日で集まりにくい日程でしたが、セミナーの参加者は18名になりました。午前中のボランティア活動に14名が参加し、記念碑台周辺の散策路でクロモジやアセビの花を楽しみながら汗を流しました。

山と地域住民のいのち・生活を守る技術者

兵庫県阪神北県民局宝塚土木事務所・治水課長の赤曽部さんにお話いただきました。赤曽部さんは長年グリーンベルト整備事業に携わり、現在は武庫川を中心に、六甲山東側の治水事業に取り組まれています。
今回は兵庫県近代砂防発祥の地と言われる逆瀬川の砂防事業と、近年新しく始まったグリーンベルト整備事業の構想、住民との森づくりの取り組みについて、体系的に分かり易く解説していただきました。
広大な地域の樹林を維持管理していくのは行政の力だけでは限界がある。地域住民と行政とが協力して、山を守り育てていくことを強調されました。

砂防事業の変遷とグリーンベルト整備事業

逆瀬川上流一帯は、現在緑豊かな山麓ですが、昔は「千石ずり」と呼ばれ荒廃が進んでおり、常に土砂災害などの脅威にさらされていました。
逆瀬川は兵庫県ではじめて本格的な砂防事業が行われた場所です。土砂の流出を防ぐため川の流れを安定させる流路工など、様々な砂防工事の発展により、昔は河原だった荒地の上に、現在は住宅地が広がっています。

100年以上にわたる治山・砂防事業で緑を取り戻し安全地帯となった六甲山麓。それと同時に市街地も山裾へ発展・拡大してきました。グリーンベルト整備事業は、これまでの土砂災害対策から発展して、六甲の樹林帯を防災緑地として整備し、山自体を土砂災害に強くすることにより、安全で自然豊かな六甲山を目指すという新しい取り組みです。

住民参加の森づくりの大切さ

人のいのちと生活を守ってきた砂防事業の取り組みに感謝の気持ちが湧きました。災害は、人間の生活と自然が切り離されることによって起こります。当会でも、六甲山と市民の生活の関係を考え、そして森づくりの楽しみを見出して継続的に活動したいと思います。